新たな財源

エネ活地域を照らす太陽、地域に吹く風、地域を流れる川、森の木々、それらは地域の大切な資源。その資源がエネルギーになり、地域に利益を生み出すのであれば、市民に還元されたほうがいい。市民による市民のためのエネルギーを作るということは、地域の人がエネルギーに対する意識を持ち、実際に動き、「思い」を共有する仲間を一人でも多く増やしていくこと。それはコミュニティの力。その力を大きくしていくためには大変なこともたくさんあります。
しかし、それらを乗り越えた先には、市民一人ひとりが主人公の多様な物語が折り重なる「明るい豊かな社会」があるはずなのです。
それが日本中に広がっていくことを考えるとワクワクしてきます。そんなワクワクを多くの人と分かち合いたいなぁと思い作ったのがこの「エネ活!」です。

 

日本のエネルギー事情

日本のエネルギーは、外国に依存しています。

私たちは日々、膨大な電気・熱・燃料を消費して社会活動を維持しています。わが国は、石油・石炭・天然ガスといった「化石燃料資源」、原子力発電に用いられる「核燃料資源」、太陽光・水力・地熱といった「再生可能エネルギー資源」など、様々な資源の組み合わせによって、世界でも類を見ないほどの安定したエネルギー社会を作り上げました。

日本のエネルギー供給割合と自給率推移

エネルギー
1960
1970
1980
1990
2000
2005
2010
原子力
0.0%
0.5%
6.2%
12.0%
16.2%
15.3%
15.1%
新エネルギー等
0.0%
0.0%
0.2%
1.8%
1.9%
15.3%
2.2%
水力
6.2%
2.5%
2.2%
1.7%
1.4%
1.3%
1.4%
石炭
58.8%
24.0%
17.3%
17.4%
18.7%
21.1%
23.1%
天然ガス
0.8%
1.2%
6.2%
10.1%
12.7%
13.6%
17.3%
石油
34.2%
71.8%
67.8%
57.0%
49.2%
46.7%
40.9%
自給率
58.1%
14.9%
6.3%
5.1%
4.2%
4.1%
4.4%

しかしその一方で、化石燃料や核燃料といった現在主流となっているエネルギー資源に乏しく、その大半を外国からの輸入によって賄っています。

~エネルギーのベストミックス~
化石燃料、原子力、再生可能エネルギーを組み合わせた「エネルギーのベストミックス」という言葉が長く使われてきましたが、それは「資源調達先の国を分散させることによる資源供給安定化」です。
例えば「石油」の輸入先が中東に偏っているため、「石炭」や「天然ガス」の割合を増やすことで、資源調達のリスクを減らしてきました。(石炭→オーストラリア、天然ガス→マレーシアなど)
しかし、あくまでもそれは外国からの供給を安定させるもので、国内の資源でエネルギーを供給できる自給率で見ると、ここ30年間は非常に低い値で推移してきました。この自給率を向上させる手段として、政府は2020年頃に国内の電力の40%以上を原子力発電で供給する計画でした。
しかしながら、現在この計画は大きな転換を迫られています。

 

東日本大震災とエネルギー政策の転換

大震災が、エネルギー政策を大きく変えました。

エネルギー政策を見直す大きな転機となったのが、2011年の東日本大震災です。この大きな出来事は、大きく3つの側面から私たちにエネルギー問題を考えさせるきっかけとなりました。

①原子力発電所が引き起こす事故の重大さ

3基の稼働中であった原子炉損傷は、東日本全体に放射性物質を拡散させました。発電所の半径30km圏内だけでも10万人の避難者が発生し、一部の地域は20~30年以上に亘って居住困難となりました。そして、事故の収束と除染には今後膨大な時間と資金を投入し続けなければなりません。それだけのリスクを背負ってでも、原子力発電を使い続けるかどうかを考えなければなりません。
エネ活8

②エネルギーインフラの脆弱さ

海外からの資源輸入に頼ることから、わが国のエネルギー供給網は港湾を中心に形成され、コンビナートや大型の火力発電所も沿岸部に集中しています。そこから国内全土にエネルギーや資源の供給網が張り巡らされ、電気・ガス・燃料を手に入れることが出来ますが、このおおもととなる港湾部の施設が震災・津波で損壊したこと、供給網が絶たれたことで、長期間の「電力」や「ガソリンなどの燃料」の供給不安が生じました。

エネ活7

 

③個人やコミュニティ単位でのエネルギー確保の必要性

震災によってエネルギーの供給が絶たれると、私たちは自ら電気や熱を確保するすべがほとんどありませんでした。そんな中で、被災地域には独立型の太陽光発電設備などが運び込まれ、エネルギーの供給を回復させた事例もあります。
今回のような未曾有の災害ではエネルギー供給網の回復に長期間を要し、自前のエネルギー生産手段を持つことの重要性が明らかになりました。エネ活6

 

世界のエネルギー事情

ここで、世界のエネルギー問題にも目を向けてみましょう。爆発的な人口増加と新興国の経済成長によってエネルギー需要が急増し、世界では現在もエネルギー供給が不足している地域が多くあります。
1998年に60億人だった世界の人口は2011年に70億人に達し、2050年までに100億人を突破すると考えられています。単純な人口増加だけでも現在より40%の需要増加が見込まれ、更なるエネルギー生産の拡大が必要です。
このエネルギー生産拡大の過程においては、燃料の手に入れやすさ、運びやすさ、利用しやすさから化石燃料の利用が最も多く、世界のエネルギー消費の80%は化石燃料です。
わが国も化石燃料依存を続ければ、この世界的な資源争奪に否応なしに巻き込まれていくことになります。
今後懸念される世界的な資源不足に備えて、自給自足のエネルギー資源確保を考えていくことがとても重要になります。

エネ活グラフ

再生可能エネルギー

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスなど「自然界に存在するエネルギーを電気や熱など私たちが利用しやすい形にして用いるエネルギー」です。自然界のエネルギーは、短期間に資源量が更新されます。そのため、基本的には半永久的に使用でき、資源から発生する環境負荷も低いという特徴があります。
このような再生可能エネルギーを私たちが利用する理由として、「エネルギーの自給自足」、「環境負荷の削減や地球温暖化対策」、「小規模なエネルギー生産による分散型供給システムの構築」、「農業など他の産業の活性化や雇用創出」、「化石燃料などの将来的な枯渇への備え」、「原子力発電の代替」など様々なものが考えられます。
再生可能エネルギーの普及は、経済性が最大の課題です。
環境負荷が低く半永久的に利用できるというメリットが注目される再生可能エネルギーですが、わが国ではあまり普及が進んできませんでした。
その最大の理由は、化石燃料など従来から使われてきたエネルギー資源と比較した場合のコストの高さです。エネ活2~電気のコスト~
私たちが日頃購入している電気料金の単価は23~25円/kWh程度です。石炭や天然ガスによる火力発電は8~10円/kWh程度の原価で電気を造ることが出来ます。一方で、太陽光発電などは40円/kWh以上の原価となり、なかなか普及が進まない理由の一つになっていました。
これを解消するために2012年7月から導入されたのが、「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度」です。「固定価格買取制度(FIT)」は、政府が定めた買取価格によって再生可能エネルギー発電による電気を電力会社に買い取ることを義務づけ、再生可能エネルギー発電事業に一定の収益性を保証するものです。この買取のための費用は消費者が支払う電気代に上乗せされるため、補助金などと違って政府が税金を投入しない分、国の財政支出を増やさず導入の拡大を市場に委ねる点に特徴があります。

固定価格買取制度は世界71カ国(2012年末時点)で採用されており、再生可能エネルギーを普及させるための制度として、先進国から新興国まで幅広く用いられています。
この制度によって、太陽光発電・風力発電・小水力発電・地熱発電・バイオマス発電による電気は一定の条件を満たせば、採算が取れるだけの価格で売れるようになり、新規参入が進むことが期待されます。
この固定価格買取制度を導入するための法律は、奇しくも2011年3月11日の午前中に閣議決定されました。この制度は特別措置法として10年間の時限立法として制定され、3年ごとに制度を見直すことになっています。2014年度で制度導入から3事業年度が経過するため、これから制度の見直しが始まる予定です。

 

再生可能エネルギー発電の急速な拡大

固定価格買取制度導入以降の国内市場
「固定価格買取制度」の導入により、わが国の再生可能エネルギーの導入量は制度導入以前と比べものにならないほど大幅に増えました。
2012年7月に制度が導入されてから、最も大きく増えたのは「太陽光発電」です。「固定価格買取制度」によって太陽光発電の電気は非常に高い価格で売電できることになり、出力1,000kW以上という一般家庭300~400世帯を賄えるほどの「大規模太陽光発電所(メガソーラー)」が急増しています。
買取制度導入から1年が経過した2013年7月末時点で、既にメガソーラーを含む国内の非住宅用太陽光発電設備の計画は2,000万kWを超えました。「固定価格買取制度」の導入前は、住宅用と合わせて560万kWしかなかったことを考えると著しい増加ペースです。
新規参入の増加は制度の目的が達成されていると言えますが、いち早く事業に取り組めた人々だけが利益を得て、発電所が立地する地域には恩恵がほとんど無いなどの問題が表面化しています。私たちはこれにどう対応していくべきか、 それに対する一つの対応策が、「地域づくりへの再生可能エネルギー活用」です。

 

再生可能エネルギーと地域づくり

エネ活3再生可能エネルギーと地域づくりの関係は、自然資源を単にエネルギーの供給資源とだけ考えるのではなく、ライフスタイルの見直しや歴史・文化の振り返り、産業の振興など様々な側面に注目することで生まれてきます。
水車による粉ひきや、薪による炊事など、自然から得られるエネルギーの活用はずっと昔から生活に取り入れられてきました。この昔から行われてきた営みを、現代的に捉え直したものが再生可能エネルギー利用といえます。
自然を生活に利用することは、かつては人々にとって当然のことであり、過去の営みに立ち返ることで地域の文化を見直すことにもつながります。また、作ることが出来るエネルギーの範囲で如何に暮らすかという視点を持つことで、ライフスタイルを見直すことにもつながります。
さらに、地域で生産できるエネルギーが内部の消費量を上回るようであれば、それを人口が集中する都市部に売ることで収入を得ることが出来ます。農作物などと同じようにエネルギーを販売することが再生可能エネルギーによって可能となります。そうすれば、再生可能エネルギーの利用が、地域間の経済格差の是正や産業振興のきっかけとなります。
地域の文化やライフスタイルの見直しと、エネルギー生産による自給自足と経済力の確保、そして産業振興へとつながっていく流れは確かに見いだせますが、ではそれをどのように実現していけば良いのでしょうか。

個人とエネルギー問題

 

個人が取り組むエネルギー問題

エネ活4 化石燃料の枯渇や核燃料の安全性に対する懸念など、既存のエネルギー資源の依存から脱却していくためには、大きなシステムとしてエネルギー供給構造を再生可能エネルギーに転換していくことも重要ですが、一方で、私たち一人ひとりが生活を見直し、エネルギーの消費を減らしながら再生可能エネルギーを取り入れていくことも大切な取り組みです。
最近は省エネに対して「創エネ」という言葉が使われ始めていますが、技術の発達によって一般家庭や個人でもエネルギー生産手段を持ち、日常生活に必要なエネルギーを得ることが出来るようになってきています。特に、再生可能エネルギーは太陽光発電に見られるように、その手軽さから生活の中に取り入れることも容易になりつつあります。
また、エネルギー問題対策には防災という視点もあります。東日本大震災の時も広範囲が長期間の停電に見舞われ、生活上の不便さだけでなく人命に関わるような問題も生じました。特に電気に依存した生活を送る私たちにとって、自らエネルギーを作る手段を持つかどうかはいざというときに大きな意味を持ってくるのです。

 

再生可能エネルギーの利用

個人でも出来る再生可能エネルギーの利用には多くの手段があります。2013年に国内の住宅用太陽光発電設備導入世帯が100万世帯を超えましたが、まず自分の生活する住宅に再生可能エネルギーを取り入れる動きを更に加速させることが重要です。集合住宅でも共有施設として太陽光発電設備を導入したり、防災用に独立型の発電設備を備えたりする事例も増えています。
そのような大規模なものではなくても、ベランダの物干しに掛けられる程度の小型ソーラーパネルと、持ち運びが出来るバッテリーを備えることで日常生活のエネルギーを賄うことも出来ます。
アウトドア用のコンロで携帯電話を充電できたり、携帯可能な水力発電機があったりと、再生可能エネルギーを手軽に利用する道具が震災以降次々と登場しています。更に、一戸建ての住宅であれば、費用はかかりますがエネルギーの完全自給自足を達成することも可能です。
家庭菜園で野菜を作ることと同じような感覚で、再生可能エネルギーによって日常の電気や熱を賄うことができるようになりつつあるのです。自分の手で作ることは消費の実感を得ることになり、より効率の良い使い方を考えることで省エネにもつながっていきます。太陽光発電などで作られるエネルギーはそれほど大きなものではありませんが、一方でその事実は私たちの生活を支えるエネルギーがどれだけ膨大なものかを知るきっかけにもなるはずです。

エネルギーの選択

エネ活5私たちはこれまで、エネルギーを選ぶことにあまりなじみがありませんでした。暖房にエアコンを使うかストーブを使うか、調理にガスを使うか電気を使うかといった選択をすることはあっても、どのような施設で作られた電気を使うか、どこで作られた燃料を使うか、ということにまで関心を持つことは少なかったのではないでしょうか。
これからの社会で求められてくるのは、私たちが使う電気や熱や燃料をどのようなエネルギー資源から作り出すかの選択です。東京電力福島第一原発の事故で、原子力以外のエネルギーを選ぶという動きが大きくなってきました。それ以前から、地球温暖化対策として脱・化石燃料という動きが進んできていましたが、まだ再生可能エネルギーが政策的な選択肢として弱く、原子力が中心に据えられてきました。

現在は、全原子炉の停止によって化石燃料による火力発電が私たちの使う電気の90%を生産しています。その為に年間で3兆円以上の化石燃料輸入費用が増加し、わが国は31年ぶりに貿易赤字となりました。化石燃料は国内で生産できませんから、現在の状態をいつまでも続けるわけにはいきません。その中で、原子炉の再稼働、再生可能エネルギーの積極的拡大、シェールガスやメタンハイドレートなど新たな化石燃料資源の活用といったたくさんの選択肢が提示されてくるでしょう。

私たち日本人が生活の中に化石燃料を取り入れるようになって約120年が経過しましたが、いま再び新しいエネルギーを”選択”する機会が訪れているのです。

 エネ活9